2023年6月 6日 (火)

「原音及び原音再生についての考察」

「原音及び原音再生についての考察」… 一部の界隈で数十年に渡り論争の火種となって来たこと… 長いです。

 私のように長年レコーディング・エンジニアをやってきた人間からすると、「原音(元音)」というものは先ず、演奏場所のスタジオやホールという現場でのそれぞれの楽器や声の音ということになり、これとて現場のアコースティックやホールだと人の入り具合、ライティングや温度湿度にも影響されるのだが、まぁ、どんな環境であれ、「そこで鳴って出ている音」と考えることが出来る…これを第1の原音と考えてみよう。

次に、上がりの媒体(レコード、CD等)、プロデュースの方向性、演奏者、演奏方法、携わるエンジニアにより、現場での音…ミュージシャンが出している音をそのまま録る(環境等による付帯音や痩せに対応したEQ補正は行う)場合もあるし、音を加工し弄って、元音とは異なる音に録り、仕上げていく場合もあるわけです(アレンジにもよるし、トータルで狙ったサウンドにするためだが、初めからキッチリ作る場合もあれば、後でいくつかの可能性を考えた自由度のある音にする場合もある) その他、演奏場所のアコースティックや音の回り込み(カブリ)を考慮した楽器や人のセッティング場所の変更、箱(部屋、スタジオ、ホール)のアコースティックを変更するための遮蔽板、吸音板、反射板、毛布等を使ったり、楽器間の音の回り込みをどれだけ活かすか、全くカットするか等の調整等々。打楽器類のミュート及びパッドのあるなし、それを使う場合の調整、マイクの選定及びマイクの位置、本数。必要であれば各種イコライザやコンプ、各種エフェクター等の周辺機器も多用する。更に、可能なら楽器を変える、アンプリファイする楽器でのアンプチェンジ、リアンプ等々を含め必要とする音を得るために録りの段階やミックスであらゆることをする(勿論、予算つまり時間がかけられる場合)…予算の範囲内で行う。

で、肝心の「原音」という考え方だが、レコーディングとミックスを同時に行う1発録りでは、必要と感じた上記のあらゆる加工と調整を行っているし、マルチ録りなら、録音時だけでなくミックス時にも色々加工するのが通常。

で、アナログ/デジタルどちらにしてもマスターとなるテープ等を仕上げたスタジオのコントロールルームのモニタから聴くマスターの音が第2の「原音」と考える。しかし、ここから更にマスタリング、カッティング(ここでも音の調整はされるのが普通)を経てプレスされ、市販品となる。この上がりの製品を第3の「原音」と考えよう。

レコーディングエンジニアであれば、当然自分が関与した製品を聴くので、それは録りやミックスをしたスタジオだったり、違うスタジオだったり、自宅のオーディオシステム、ラジオだったりする。

(ここで録りから含めての全行程でのフィードバックを脳内で行っている…次に活かすために)

片や、大多数のレコーディングエンジニアや関係者でない再生側の人間(オーディオマニアを含め)は、殆どがレコードCD等の製品を聴くことから始まる(私が言う第3の原音)…ここから始まるのであれば、そのレコード等の媒体に入っている全ての音情報をもれなく再生するという考えに立ってアレコレ苦心するのが再生側の原音再生なのであろう…

勿論、オーディオの楽しみは原音再生だけではないから、その人なりの「自分が感じる最高!」と思うサウンドで聴くことに色々と腐心しシステムを構築すること、言ってみればその人にとってこれが第4の原音なのかも知れない…


#オーディオ #アナログ #オーダーメイド #ラインアンプ #AUDIO  #REC  #レコーディング

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2022年1月29日 (土)

好きな言葉

好きな言葉

「技術が成功するには、宣伝活動よりも現実が優先されなければならない。

 自然を騙すことは出来ないのだから」  Feynman  '86


人間を騙すことも出来るし、騙すことは出来ない、とも言えるか…

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2019年5月 1日 (水)

遠藤ミチロウ・(ザ スターリンのこと)

ザ スターリンのデビューシングル(アナログEP)を録音したのは40年前!(赤スタに入る前)になる。
その後すぐに4曲入りアナログ20cm盤を録った。遠藤ミチロウという人は私が知る限り、普段はとても静かで寡黙だった。
コントロールルームでも、何回もの打合せの時もそうだった。
1979年末の新宿ACBでのライブ録音ではスタジオ録音では知る事の出来なかった彼を観ることが出来た。
ホール内後方片隅で録音したからだ。
私には、スタジオのコントロールルームでプレイバックの時、床に体育座りし、両手に顔を埋めて聴き入るミチロウの姿が忘れられない。。
(先日逝ってしまったベーシスト甲田賢一はスターリン出身だった)
 
二人が天国で再会したらまた一緒に演ってくれるといいね。
 
合掌
ACBでのライブ録音については、当ブログ・カテゴリ「つぶやき」に「1979.12.31前篇/後編」として投稿しています。
興味のある方はご覧ください。

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2019年4月21日 (日)

当工房のコンセプト

当工房では、中身がなく(高級品を謳っているオーディオ機器にもがらんどうに近いものがありますが、

中身がないとは凡庸な音と言う意味です。)外見を必要以上に良くした物は作りません。

長年のレコーディングエンジニアとしての経験から、嘗ての業務用機器のデザインコンセプトを、踏襲しているからです。

肝心なのは中身、こけ脅しの無駄はないのです。

◆オンラインショップはクレジットカード専用ですが、メールでの発注+銀行振込の場合は表示価格の20%offで製作致します◆

 

 

 

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2018年12月14日 (金)

懐かしい記事に出会った。

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当時、この製作記事のコントロールアンプを自作された方は、多かったようです。 ゲインブロックの注文が増えましたから。。
私(アナログ式)のラインアンプは勿論、オリジナルの設計です。

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2018年12月10日 (月)

思うこと。

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スタジオの定番HPは、嘗てエレガだった。。その後は然り。エレガの後、私が20年以上使っているのはこれ。決して、世間の評判と価格ではありませんね。

自身で感じることを信ずることが出来ない人、又は放棄した人が、評論家の言い成りになる。

何かを評価する場合、リファレンスとなる機器やシステム、耳は必要です。
ただ闇雲に評価しても始まらないのです。
特に「耳」は誰かが教える物ではなく、教えられるものでもありません。

音響工房アナログ式
analogmode.jimdo.com

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2018年11月 6日 (火)

ライブレコーディング

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11/3 ライブ録音、40回線2ch一発〜MA→DVD上がり。
キャパ1600のホールでの収録。
演奏者以外のスタッフは30人程。
私は9時入り→打合せ→待ち→リハ→待ち→1回目本番収録→待ち→2回目本番収録→帰りですが、PA、照明、VTR等のスタッフは本番以外も直しの調整で動いています。
私は特に問題がなければ、外の空気を吸いに街に出たり、仕出しを食べながらPA、照明のスタッフと雑談をして過ごします。
ライブ録音、楽しんで来ました。

60周年目指して

皆さん、お疲れ様。

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2018年9月25日 (火)

特注の部屋(71)2wayラインアンプ+パッシブEQ

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特注の部屋も(71)となったが、15年前OLD LINEというガレージメーカーを立ち上げた初期に、ラインアンプやコンプの特注製作が幾つかあった。色々あって当時の画像は存在しないので記事には上げていないが特注の実数は80近い。

さて、今回のラインアンプ+パッシブEQはオールブラックの筐体を使用している。
内側までもブラックだ。
というのは、長年使って来た秋葉原のO社が長い休暇を取り、連絡が取れず、
急遽、T社の筐体を使った。
O社のラックマウントケースも必要充分なパフォーマンスを持っており、
加工もし易く、海外のプロ用機器のスタンダード筐体と同レベルで丸みのある、
良い筐体だったのだが、手に入らないのでは仕方がない訳だ。

T社の筐体は贅沢過ぎる位に造りや塗装も良く、強度も高い。
当然、価格も倍以上違う。
O社が復帰するかは判らないが、今後はT社の筐体を使っていくことになるだろう。。

この2wayラインアンプ+パッシブEQのグレードは旧take2に多数の仕様変更を、
追加したもの。ゲインブロックはDとR。

非常に抜けの良いサウンドと野太くウォームなサウンドを切り替える事が出来、更にオリジナル回路のパッシブEQで、自由度の高い音場調整が可能。 楽器の様に使って頂ければと。

現在、take2は終了し、Basicモデルとなってお求め易くし、仕様変更をプラスしても、
リーズナブルである。

この記事を書いている今は、最終段階の調整中である。

●2wayラインアンプ+パッシブEQの詳細は、特注の部屋(51)をご覧ください。

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2018年9月17日 (月)

ライブレコーディング

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ライブレコーディング、楽しかった。

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2018年7月 5日 (木)

12AU7試聴

Bugera

開講真近のワークショップ「大人の電子工作」に使う真空管が届いた。
全5回程の公開講座で管球式ヘッドフォンアンプを作る。

新製品、Eustachio Tube HPAとは少し異なるワークショップ用に製作したキット。

それに使うBUGERAのU7を試聴してみた。

25年程前、スタジオで真空管による音の違いを探るべく自作の機材を作り、
取っ替え引っ替えしていた。

X7、U7、T7、6AU6、6SL7を使えるラインアンプだった。
(6AU6は三結)
当時、手に入る球を秋葉で物色し、集まった250本のプリ管。
それぞれ特色を持っていたが、録音に使ったのはRCA 7025とSTCの6SL7。
音楽再生のみならテレフンケン、LUX、ハンガリーの某メーカー(本当は名前忘れた)も良かったが、録りでは圧倒的にRCA とGT管ではSTCがAPIやAMPEXとマッチしていたし、
私の考えるサウンドにもマッチした。

BUGERAはベリのアンプ部門の会社で球は中国に発注している。
エージングで少し変わって来る筈だが、基本にある音は変わらない。
25年前に試した同じくチャイナのゴールデンドラゴンと,
ロシアのソブテックを足して7:3位の音がする。

気のせいかな。。

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