◆TUBE TECK CL-1Bのリペア
◆STUDER169モジュール改造記事と同じく、FBに投稿し、ブログへアップしなかった記事の掲載です◆
先日、お世話になっているスタジオからTube Teck CL-1Bコンプのリペアを依頼された…
タイムラグ型ヒューズがあっという間に昇天し、電源が落ちてしまう…電源部に異常があるなということで蓋を開ける。
空中配線等を多用した往年のチューブアンプの作りではなく、量産化に適したプリント基板による構成だ。
回路図がないため追っていくしかない、webを探してもCL-1Bの図面は転がっていないからだ。
規定の0.2Aタイムラグだと落ちてしまうので、仕方なく0.5を入れ、真空管を抜いて、パワートランスの加熱具合を診ながら手早く各部の電圧を測定した(これを綱渡り的測定と云う)
すると…「あっと驚くタメゴロー」ではないが、2段目の球のB電圧が400Vも出ているのだ!
これはヤバイ、12AU7双三極管のプレート最大定格は330V。
初段の+Bは少し低めで200Vだが問題はない。
V2へのB電源ラインを追って行くと制御回路にぶち当たった…結局ここのパワトラ(パワートランジスタ)を差し替えれば社会復帰可能と診た。
シリアルNo30○○ということは結構年代物か…再ハンダしてリキャップもしたほうが良いだろう。
まあ、トランジスタが見つかってからだ。
しかし、製造中止の石だ。トランジスタ企画表を見ながら代替え品を探すことに。この手の石はディスコンが多く、「あっちを立てれば、こっちが立たず」でなかなかマッチするヤツが見つからない。
あとは、根気の勝負だな…
某スタジオから依頼されたCL-1Bはまだ復帰準備中だ…空いた時間にチェックしつつポツポツ進めているが、B+は規定の電圧になったが相変わらずヒューズが飛ぶ。
経験上、ダイオード、パワトラ、コンデンサを替えれば復帰することが多い。
今回も一つ一つ潰して行ったのだが…嫌な予感が過る。こうなると、セクションごとに基板のパターンを切ってチェックするしかない。
プリント基板は量産に向いてるが、ワイヤリングではないので、ちょいと一箇所線を外してというわけにいかない。
ワイヤの代わりのパターンなので、そこをカットするしかないのだ。
勿論、切った後はパターンを修復する必要がある。
これも、一箇所ずつ切っては修復し、切っては修復しを繰り返しながらチェックするのでまだ時間かかりそうだ。
「嫌な予感」というのは最終的にトランスがNGってる場合のこと。
新品ではまず考え難いが、古くなるとトランスにもダメージが出て来る場合がある。
まあ、最悪のケースは考えずに行くことにしよう。
某スタジオのTube Teck CL-1B
初段と後段のB電圧は制御回路のパワトラを交換し正常になったが、喜びも束の間で相変わらずタイムラグ ヒューズが昇天する…までは先日の投稿に書いた。
古くなった平滑コンデンサ、ダイオード、一部の抵抗も今後長く使うためにも新しいものに交換。
パワトラが異常に発熱するので、嫌な予感も出て来たがB回路、ヒーター回路、パイロット、メータランプと順次切離してみると…やはり加熱する。回路をバラシながら、パワトラを無負荷でテスト…良かった!トランスはOKだ。
で、「たどり着いたら、何時も雨降り」ではないがコントロール回路基板のレギュレーター回路に問題があることが判った。
あとは、必要なパーツ交換で社会復帰出来るだろう。
やっと、たどり着いたね。
辿り着いてからはパーツ待ちだったが、さっき眼が開いた。
タイムラグ・ヒューズは切れず、パワートランスの異常発熱もなし、現在で118Vの電源電圧でヒーター12V、V1プレート237V、V2プレート290Vで安定した。
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