◆STUDER 169モジュールの改造
◆FBに投稿し、ブログへアップしなかった記事の掲載です◆
ポータブル アナログミキサーの名機、Studer 169のCHモジュールだ。
これに「秘密」の(笑)改造を施す…
長年の伴侶だったAPIもそうだが、Studerの卓にも思い入れがある…故に今回の投稿は長尺ものだ。
私が20代の頃在籍したAMS「赤スタ」は1スタ、2スタともStuderのミキシングコンソールだった。
189 Quad…16トラック マルチレコーディング対応で4chマスターバスのスプリットコンソール。
マルチのリモートは卓に付いていて、CHアサインも兼ねるクォードパンポットのジョイスティック付き。
オプションでStuderのコンプリミ・モジュールを4ch…これはチョッパー方式のコンプで独特のコンプレッションとサウンドが他に類を見ないものだった(1ch 70万位だったか…)
時代は16トラックマルチから24トラックへの移行期(2インチアナログ)
赤スタでも既にマルチレコーダは巨体のA-80-24が稼働していたが、コンソールもマルチも新しいモノにということで、幾つか候補を選び、情報を集めていた。
77年当時、コンソールの候補はヘリオス、カダック、ソリッドステートロジックの三つだった。
一つは問合せた時点で会社が消滅していた…ヘリオス…その後オークションでプレミア付きで取引されているディスクリートコンソールである。
カダックは後に国内に二台程入った。
結局、国内1号機としてのSSLを購入。
ジェンセン インプットの28 I/O コンピュータなしで当時5千万…今では考えられない価格だ。
代理店は神楽坂の河村電気研究所、(まだSSLジャパンはない)
ノイマンもスチューダーも河村がやっていたのだ。「ジムランのパラゴンを日本に入れたのも河村」
SSLに決定はしたが、先輩エンジニアのE氏からすれば、「あまり目出たくはなかった」と推測する…
彼はハードに関しても凄腕で、189の音が今ひとつ冴えないのはコンソールの電源の問題だと気付き、Studer純正の電源より数段も優れた電源を作ってしまった人だ。
私はこの人に、「ソフトだけでなく中身、つまりハードも解ってこそエンジニアといえるんだよ」と教えられた。
ヘリオスを一番入れたかったのだろうな…
さて、何はともあれ新しいコンソールは購入したし、あとはマルチはA-800を導入し、スタジオも改装して新規オープンする筈だった…
だが、全面改装はオジャン、更にオーナーまで変わってしまった、のだ。
哀れ国内1号機、行き場を失い、事務所の片隅に鎮座まします事となり、後にビクターへと嫁いで行く…
そしてドタバタ劇の顛末は、
1スタ、2スタの189を合体改造、28イン24アウト24モニタにして営業を続けることと相成る。
(因みに国内2号機は六本木ワーパイに入った。20年以上前にお邪魔した折、既にI/OモジュールのEQ等、固まっていた思い出がある)
その後、SSLは「雨後の筍」の如く生えて来て…いや違った…「入って来て」、SSLでなければ卓でない、SSLが入ってなければ仕事が出来ません…などというナンセンスでアホーな状況や輩も出現することとなる…
平河町に在った「赤スタ」…同じビルの2階がカッティング&プレスの「東洋化成」4階に赤坂「四川飯店」夜仕事の時は必ず坦々麺か煮込みソバ(モツ入り)…旨い!本当に旨かったが安月給の身には高かった(残業やショクナイで稼ぐしかなかったが残業100h〜200hなんてザラにあった)
当時で8百幾らの坦々麺…
陳健民氏の時代だ。
うーむ、、、色んなコトを、、、昨日の事のように、、、思い出してしまった、、、
やはり、思い入れは深い…
ということで(笑)
Studerの卓には特別な思いがあるのだ。
後発169モジュール5本のカバーを開けると変り種が出て来た。
Oldなのでリキャップは当たり前だが、1本だけCの殆どがニッケミ(Black Gateのもある)
Rは一部を除いて3種のカーボン皮膜(ひとつはモールドしてあるが恐らくカーボン皮膜)とカーボンコンポジション。
しかも1/2W、何れもメーカー不明。
Studerはフィリップスやウイマのコンデンサ、フィリップスのカーボン皮膜(キンピも使っている)が定番。
この1本のモジュールは意図的に音を変えてある訳だ。
今回来ていないモジュールの中にこれと同じ変更をしたものがあるかは判らないが、頭に入れておく必要があるので、印を付けとくことにしよう。
今では使う人は殆どいないだろう…特性の優れた石がゴロゴロ転がってるから。
しかし、オペアンプだけで機器の音質や特性が決まる訳ではなく、回路や他のパーツも関わって来る以上、よく考えれば301で充分なんですね。
流石に昔のスチューダー、よく出来ています。
音響工房アナログ式
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