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2005年10月 2日 (日)

Hi-Fi とLo-Fi

oldboy1naname1    ■電機技師で大正九年生まれの父はパチンコが好きだった。台の右側に穴が開いていて、左手で球を入れながらレバーをはじく「アナログ・パチンコ」。パチンコ台も以前は台の個体差が大きく、打つほうの技量にも工夫のしがいがあり、それなりに頭と体を使うものだった。今朝の新聞に出ていたがパチンコ台もデジタル化が進みすぎ、それが顧客離れを招き、一昔前の台に戻されているらしい。人が飽きずに取り組めることには、ある程度の不便さも必要だ。(そういう私はパチンコをやらないが)。話が脱線したが、先月Lo-Fiマイクプリを新たに発売したこともあり、今回は音の「HiとLo」について話してみたいと思う。

■まず「Hi-Fi」とは、ご存知の方も多いと思うが「Hi Fidelity (高忠実度)」の意味。Hi-Fi録音、Hi-Fi再生というように、”原音に忠実に”録音や再生する度合いが高いということだ。逆を言えば、Lo-Fiは低忠実度ということになる。■だがHi-Fiという言葉がもてはやされた1950年代〜70年代には、Lo-Fiという言葉はなかったと記憶している。戦後の高度成長期も含め、その頃を機に、一般的なオーディオ製品にもHi-Fiが登場してきた。「Hi-Fiな音」は日本社会が戦後から復興したひとつの象徴だったのかもしれない。だから今では敢えて「Hi-Fi」を謳う機材は少ない。それが当たり前になった今こそ、「Lo-Fi」という考え方が注目されるのではないだろうか。

■本来Lo-Fiとは、主に「技術的な問題」から周波数特性に”あばれ”(凸凹)があり、原音とは違った音に録音/再生することや、S/Nが悪くノイズが多いもの、周波数特性が狭く、いわゆるナローレンジのものを意味する。しかし現在は故意に(技術を使って)Lo-Fi系にした製品も存在する。単なる懐古趣味とLo-Fiを好むということは、似て非なるものである。Hi-Fi/Lo-Fiどちらにしても大事なことは、音(演奏)の本質を伝える(録音/再生)ことができるかということ。その音楽には、HiかLoのどちらが合うのか。それを選び取る耳が大切だ。■したがってHi-Fiな録音をするには「Hi-Fiなモニターシステム」と、さらにその音を「聞きとる耳」が必要。Lo-Fiで録音する場合もモニターはHi-Fiがいいだろう。ということは、Lo-Fiの音を自然に作り出せる機材と、Lo-Fiを知っている耳があればいい。

■今回なぜLo-Fi機材を作ったか。現在50才の自分が、人生ではじめて聞いたオーディオの音がLo-Fiだったからに他ならない。原点回帰ではないが、耳の記憶を頼りにそれを再現してみようと思い立ったのだ。人はそれを「趣味に走った」とでもいうだろう(笑)。■昨今流行った所謂「Lo-Fi系」の音には違和感がある。それはあくまで「Lo-Fiっぽい」音であり、ホンモノのそれではない。同世代には懐かしく、若者には新鮮に聞こえる音。今回それが実現できたのは、特別に入手したヴィンテージのパーツのおかげだった。21世紀の今、はたしてその思いは伝わるだろうか。ファットだが高域がなだらかに落ち、タイト部分も含め全体的に心地よいサウンドに仕上がった。最後に宣伝になってしまうが、製品名のOLD BOYとは正に私のことなのだ。アナログ・パチンコが好きだった父は昨年83歳で他界した。

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