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2005年7月 4日 (月)

箱を開ける その2

■メーカーを名乗る以上、そこには確固たる「個性」が必要だろう。テキストを読めば誰でも(手先が器用なら)作れてしまうような、美しいだけの機材であってはならない(もちろん美しさもひとつの価値である)。プロのメーカーとしてお金を貰うことが許されるのは、メーカー独自の「音」を実現できた時のみだと考える。

■実は最近、製品を愛用されている方から「もっと箱の中身について説明しないと、誤解を生むと思います」とご指摘頂いた。箱の中身を教えるということは「音の秘密を教える」ということだ。’企業秘密’として敢えて公開しない姿勢を取っていたが、それでは伝わらないのだと気づかされた。「誤解」されるのは本意ではない。だから箱を開けることにする。それが自分が作った製品と、それを愛用されている方たちへの責任でもあるだろう。

■まずオリジナル・ブランド「Eustachio」サウンドの要である1960ゲインブロックについて。切り出した2.5cm四方の基板に、トランジスタ、抵抗、ダイオード、コンデンサーのディスクリート部品、これらのパーツ数十本のリードをハンダで直結して組んである。それをケースに入れ、モールドし、チェックを経て完成する。マイクプリやラインアンプ等はユニバーサル基板の表と裏にパーツを配置し、1960と同様にリードは「直結ハンダ」である。パーツの拠り所としての基板は存在するがスルーホールはパーツのリードを通しているだけの箇所も多く、言わば空中配線に近い。「直結ハンダ」は見た目は悪いが、プリント配線よりも音の鮮度がよい。メーカーを始めるまでに自分用の機材を随分作ったが、「直結ハンダ」は丈夫で信頼性が高いと確信している。メンテもしやすい。箱を開けると基板裏にもパーツが配置されている分スッキリと見える。■内部配線については、可能な限り最短距離での配線を心がけている。ワイヤーをまとめ、配線ルートを作り、そこへ這わせていくのが一般的だが、音のクオリティを上げるためにこちらの方法を取っている。

■もちろん「直結ハンダ」や「最短距離配線」で作れば誰にでも実現出来る音を作っているわけではない。申し訳ないが、ここから先は文字通り’企業秘密’とさせて頂きたい。ただ、これだけは言える。箱の中には、長年の経験で培った全てがつぎ込まれているのだ。

音響工房アナログ式  http://analogmode.jimdo.com

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